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味噌の科学

醸造味噌で動脈硬化予防

コレステロール酸化防ぐ

ゆっくり寝かせたみそを食べると、動脈硬化の予防に効果があるー。長野県工業技術総合センターの神山真澄研究員が、こんな研究成果を、4日に埼玉県で開かれる日本栄養・食糧学会で発表。

動脈硬化は、血液の中のLDLコレステロールの酸化が一因とされる。みそには、赤ワインにあるポリフェノールの一種が含まれており、みそを長期間熟成させると、この物質の構造が変化し、コレステロールの酸化を防ぐ働きが高まるといいます。

コレステロールを低下させ
動脈硬化を予防

 みその主原料である大豆に含まれているたんぱく質、植物せんいやレシチン、サポニンは、体内のコレステロールを低下させ、動脈硬化を予防しまず。その結果、脳梗塞や心筋梗塞、血栓症などを予防することができます。

  • リノール酸、植物性ステロール、ビタミンEの相乗作用で余分なコレステロールを排出
    リノール酸には、血中コレステロールをそのまま便の中に排出する作用があります。
  • 大豆のレシチンが、コレステロール上昇抑制に高い効果
    レシチンが便中へのコレステロール排泄が促進されることから、ひとつにはコレステロールの吸収を阻害する作用があるのではないかと考えられます。
  • 大豆のコレステロール抑制効果は、リノール酸+レシチンの効果でもある
    大豆のリノール酸によるコレステロール低下作用は、レシチンとの結合形をとることでさらに強くなっているのではないかと考えられます。
  • 大豆たんばくや食物繊維、サポニンにも期待されるコレステロール低下作用
    大豆のたんぱく質のペプチドや、大豆食物繊維に含まれるサポニンにもコレステロールを抑制します。

みそ常食に代表きれる大豆食文化は
健康食文化

 このように大豆には、コレステロール低下に効果的な成分が含まれています。ひとつの食品の中に、これだけの成分を含み、さらにそれらが相乗効果をあげている食材というのは、ある意味で特異な食品ともいえるでしょう。
しかも、これらの成分はいずれも血中コレステロールの上昇を抑制するだけで、血中コレステロールを下げす葦るという 心配はまったくありません。また、みそなどに加工された場合も、それぞれの成分の作用は変化しません。

過去、欧米に比べて日本人に心臓病が少なかった理由のひとつは、大豆・大豆加工食品を食べる食文化を継承してきたからだともいえます。しかし、近年、食生活の欧米化などによろて血中コレステロールは一ヒ昇し、心臓疾患が増加している事実が見られます。煮豆などの大豆料理のほか、みそ汁、豆腐料理といった形で大豆を食卓にのせてきた大豆食支化の効用を、今一度見直したいものです。とりわけ、みそは食品であると同時に調味料的存在として日本の食文化を支えてきた食材です。食文化のボーダーレス時代を迎えた今こそ、伝統的健康食品と’もいえる大豆加工食品”みそ”にス
ポットを当てる必要があるのではないでしょうか。

参考資料:みそ健康づくり委員会『みそサイエンス最前線』1999年
県立姫路工業大学教授 辻 啓介 先生「血中コレステロール値を改善する大豆・7つの成分」