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味噌の知識

「味噌の塩分は体に悪い」は誤解です。

味噌は古来より伝わる日本の調味料であり、今も日本の食生活に欠かせない物です。

ところが1970年以降「味噌は塩分が多い」「味噌は血圧を上げる」という誤った説が通説となり、安易な減味噌生活が進みました。

しかし最近の研究棟から、味噌の降血圧作用やガンの予防効果など様々な健康効果があることがクローズアップされるようになりました。

ここでは、広島大学名誉教授・渡辺敦光先生、共立女子大学教授・上原誉志夫先生、女子栄養大学副学長・五明紀春

先生の研究結果などから、「味噌の塩分」について誤解を解いていきます。

味噌汁で血圧は上がらない!

味噌汁を飲んでも血圧には影響しません!

味噌汁の摂取量と血圧の関係性について、東京都内にある病院の人間ドックを受診した現在治療中の者を除く男性102名を調査。その結果、味噌汁の摂取頻度と血圧の間にはあまり関連性がないことがわかりました。
血圧の上昇を気にして、味噌汁を減らすことはあまり意味のあることではないのです。健康維持や生活習慣病予防に効果があると言われている日本の発酵食品の代表ともいえる「みそ」「味噌汁」を積極的に摂った方が良いようです。(資料:共立女子大学教授・上原誉志夫先生 第36回日本高血圧学会報告リリースより)

疫学的調査より味噌汁を飲む人は高血圧になるリスクが下がるという結果が。

日本人の生活を4年にわたって調査(どのような生活が高血圧のリスクを上げるか)した結果(左表)味噌汁を一日に二杯以上飲む人は、そうでない人に比べて高血圧になるリスクが0.18倍と大幅にさがる事がわかりました。
大豆に含まれる大豆たんぱく質が血圧上昇をおさえることは学者の間でよくしられていますし、褐色色素(メラノイジン)も血圧上昇を抑える働きがあります。
(資料:広島大学名誉教授・渡邊敦光先生 「味噌力(かんき出版)より)

塩分を味噌で摂ると血圧はあがらない!

左記の研究では、食塩感受性(食塩を摂取すると血圧が上がる)のラットに「味噌を含むエサ」「同じ濃度の食塩を含むエサ」「少し低い濃度の食塩を含むエサ」「普通のエサ」を与えて12週間様子をみました。この結果、塩分を味噌でとると、血圧が上がりにくくなるという結果が出ています。塩分摂取量が多い地域の人々の血圧が高いことは事実ですが、不思議なことに、味噌だと血圧が上がりにくくなるのです。味噌、特に発酵熟成度の高い味噌に多く含まれているといわれるその褐色色素「メラノイジン」に血圧を上げるホルモンの生成を促す酵素の働きを妨げる作用がある言われています。
(資料:広島大学名誉教授・渡邊敦光先生 「味噌力(かんき出版)より)

味噌の塩分は問題ない!

味噌汁は塩分摂取の決定的要因ではない!

味噌汁に含まれる塩分を気にして「減塩=味噌汁を減らすこと」と思われがちですが、食塩摂取量への寄与率は2%ほどです。減塩が必要なのであればむしろ調味料や香辛料を減らした方が効果的といえます。
また同調査においては、一日一杯程度の味噌汁は、血管年齢を改善するという傾向があることも確認されました。
(資料:共立女子大学教授・上原誉志夫先生 第36回日本高血圧学会報告リリースより)

日本人は発酵調味料が多い日本人は、塩分摂取量が多くても血圧が低い!

 左のグラフは日本人、中国人、イギリス人、アメリカ人の40~59歳の人を対象に、塩分の摂取量と血圧の関係を調査したものです。
 塩分を一番摂っている日本人が一番血圧が低い。塩分摂取量の多い日本人がなぜ血圧が低いかの理由のひとつに、日本人が食べる塩分は味噌などの発酵調味料が多いという点にあります。発酵と熟成の過程で塩分が他の物質(味噌のタンパク質や食物繊維)と結合し味噌の中で単純な食塩として存在していないというわけです。塩分を摂るなら「味噌」でとるのがお勧めです。
(資料:広島大学名誉教授・渡邊敦光先生 「味噌力(かんき出版)より)

塩分の急源としての味噌の本当の姿

①疫学調査研究について

味噌摂取量と高血圧の相関をを示す報告はみあたらない。1日2杯以上の味噌汁摂取により高血圧が予防されたとの報告がある。

②減塩指導の評価研究について

東北の脳卒中死亡率の低下が減塩指導によるものとしても、それが味噌汁原料によるものかは疑問。厚労省は食塩の目標摂取量を1日10g以下ととしているが、現在、平均は11~12g。そのうち味噌食塩の寄与率は5%程度。減塩のための味噌汁減量指導には実際的な意味はない。

③減塩療法・介入試験研究について

本態性高血圧患者に高塩分食(1日食塩23g程度)を与えると血圧を高めたとの報告があるが、これは味噌汁換算にすると平均15杯に相当する食塩料である。血液ナトリウムイオン濃度は食塩摂取量で増減せず、血圧に影響しない。食塩感受性の差を無視した味噌汁の減量を推進する科学的根拠は薄弱。

④食塩の血圧効果について

本態性高血圧には多くの因子が関与し、原因が特定できないのが現状大豆にタンパク質ペプチドはACEを阻害。血圧上昇を抑制する作用があり、この点を考慮した味噌汁の評価が必要。味噌成分の大豆イソフラボンの降圧効果を示唆する報告も多く、味噌汁評価の重要な論点。

⑤栄養的観点からの研究について

味噌汁は多様な具材の媒体となる。野菜・いも・海藻などの効果的な摂取方法。味噌汁はカリウムやマグネシウムなどの降圧作用ミネラルの摂取媒体としても評価されるべき。

⑥食文化について

ご飯主食の食文化において、食塩供給源としての味噌汁は味覚上からも必須。味噌汁の減量は、日本人の伝統に裏付けられた食生活をゆがめる可能性がある。 

●出典:五明紀春著「正しい塩分の取り方」幻冬舎ルネッサンス新書

参考文献・資料

味噌力(味噌力)

出版社:かんき出版社 
著者:渡邊敦光 著(広島大学名誉教授・理学博士・医学博士)

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第36回 日本高血圧学会報告リリース 「みそ汁の塩分血圧に影響せず」

研究者:共立女子大学家政部食物栄養学科臨床栄養研究室家政学部臨床栄養学教授・医学博士

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正しい塩分の摂り方

出版社:幻冬舎ルネッサンス 
著者:五明紀春 著(女子栄養大学副学長・農学博士)

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