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味噌サイエンス最前線

石井味噌ホーム > 味噌の科学 > 味噌と放射能②

●発酵食品並びに成長因子を用いた放射線障害の防御作用の開発

広島大学原爆放射能医学研究所細胞再生学研究分野 渡 逡 敦 光  先生の研究結果

  1. 研究目的

     1999年9月30日に東海村で起こった臨界事故では尊い2大の命を失った。骨 髄死は骨髄移植により、皮膚は皮膚移植により改善されたが、消化管死につい ては助ける手だてがなかった。この消化管死を助けることが出ざるならば今後 起こってはいけないが、起こる可能性のある放射線事故に対して被曝者を助け ることを可能にする。骨髄死に関しては、骨髄移植やHst-1遺伝子を導入する ことにより骨髄死を助けることが出来るようになった。 しかし、消化管死に対 する防御の方法については報告はない。そこで、消化管死を助けることが出き る物質もしくは遺伝子治療が出来るならば、人類に対して多大な貢献をするは ずである。そこで本研究の目的は消化管死の防御の方法を見出すことにある。

  2. 研究内容

    ・発酵食品(味噌、ヨーグルト等)・キノコ類並びにVEGF、FGFなどのサイトカ インの外MCLI等のベクターをマウスに投与し、種々のX線(4 Gy/分)線量を 全身に1回照射。

    ・3日半後に動物を屠殺し、小腸を取り出し、固定し、HE染 色を行い、小腸の腺高再生を計測しX線単独群に比べて有意に増加しているも の検索する。その後投与量、投与時期などを検討しさらに作用機序を分 子のレベルで解析。 又、骨髄死を検索する目的で2Gy/分で全身照射を行い生存率を検討する。
    更に細胞増殖因子を腹腔内に投与し腺高再生を検討する。

  3. 研究結果 (味噌を用いた研究 )
    ・味噌を1週間前より投与し、全身照射を行うと対照の普通餌に比べて有意に 腺高再生を高めた。そこで本研究では熟成度の異 なる味噌で検討した。動物は6週齢雄CかB6C3FIマウスを用いた。味噌は味噌 中央研究所より赤辛口米味噌の発酵前期(仕込み後2~3日のもの)、発酵中期 (仕込み後120日のもの)並びに完熟味噌(仕込み後180日のもの)の凍結乾 燥品をオリエンタル酵母MF餌に10‰になるように混入し、固形飼料を作成し た。地域差を見るために広島県食品工業センター製の淡色辛口米味噌の非熟成 味噌(仕込み後10日目のもの)、熟成初期(仕込み後60日)、熟成後期(仕込 み後90日)並びに過熟成(仕込み後180日)を同様に固形飼料を作製した。

    ・6週齢の雄B6C3FIマウスに照射TL週間前より各々の餌を屠殺時まで投与した。 4Gy/分の線量率で全身照射を行い、3日後に剖検し、小腸をカルノア液で固定し、 パラフィン標本を作製し、HE染色後、腺管あたりの再生腺高を計測した。 10Gy並びに12Gy照射群では完熟味噌が他の群の味噌よ りも有意に再生が増加。次に生産地の違いを12Gy照射で比較。生産地が異なっても発酵初期の味噌よりも熟成味噌の方が腺高の 再生が増加した。更に2Gy/分で全身照射を行い生存率を調べると、普通餌の群 より味噌群が長く生存し、完熟味噌の方が長く生存した。
    ・そこで次に有効成分の解析のため完熟味噌並びに仕込み10日目の味噌の分画 を試みた。味噌にほぼ同量の熱水を加え熱水抽出し、濾過後、濾液を減圧濃縮 し、凍結乾燥を行い、これを水溶性画分とした。濾過した後の固形分を凍結乾 燥し、エーテルを加え、エーテル抽出を行った。溶媒層を減圧濃縮を行い、油 溶性画分とした。エーテル抽出後の固形分を乾燥し、これを固形分とした。これらを腺寓再生並びに生存率を検索した。
     仕込み10日目の分画前の味噌には腺寓再生力は無いが、油溶 性画分と、固形分に活性が新しく出現した。このことは水溶性画分に再生を阻 害するような物質が含まれていることを示唆する。しかし260日では何れの分
    画にも活性が認められた。このことは260日熟成の味噌には全ての画分に各々 異なった有効成分が含まれていることとなる。
     更に7Gy全身照射の生存率では仕込み260日目の水溶性画分が一番長く生存 した。一方260日固形分は生存率が短縮した。 
     以上の結果は生存率 に関与する有効成分は260口熟成味噌の水溶性画分に効果かおり、固形物分画 には阻害物質が存在することとなる。小腸腺寓再生活性は全ての画分にあるこ とから、生存率並びに腺寓再生に関する物質は異なった物質であることが示唆される。

  4. 効果

     発酵食品である味噌は仕込み直後の味噌に比べて260日間熟成させること により放射線照射後の小腸腺嵩再生や生存率を高めた
     この結果は産地の違い はなく熟成が大切であることが判明した。有効成分の分画を試みたが、小腸腺 高再生や生存率の効果が異なる分画にあることが示唆された。 しかしどの様な 物質が効果を示すかは不明である。コーカサス地方のヨーグルトにも放射線に よる腺高再生能力並びに生存率を増加させる効果があった。

    引用文献
    1.渡辺敦光,高橋忠照,石本達郎,伊藤明弘:マウスのX線照射による小腸障害に対する
    味噌の効果.味噌の科学と技術,39,29-32,1991.
    2.渡辺敦光:味噌の放射線防御作用並びに消化管の制癌効果 一特にマウス・ラットを用
    いてー.食の科学 246,92-101,1998.
    3.小原正之,陸恵梅,演田仁美,西岡輝之,影山典子,石村美祐,白木克尚,上坂敏弘,
    加藤修,渡辺敦光,川野一之:完熟味噌によるマウスの放射線防御作用.味噌の技術と
    科学,50,21-27,2002.

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