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技の探訪 47
ものづくりの現場から

じっくり3年 天然熟成のみそ一筋 

木の桶(おけ)の森---。高さ二メートル、
直径二メートル、四トン半入りの杉の桶が並
ぶ。長い年月のうちにじんわり成分が染み込んだ
木肌が、しっとりと中身を包んでいる。「木の桶
は呼吸している。みそに塩分があるから桶白身が
強くなる・大切に使えば百年や二百年は持つ」
と、みその香ばしいにおいの中で、日本の伝統の
味を守る。

●○●○○

天地返しを3、4回

 三年間をかける天然、熟成のみそを造る。機
械化、速醸法(二十〜三十日で醸造)の波に
逆らい、昔ながらの製造方法にこだわる。速醸
法を研究したこともあるが「どうしても、うま
いみそができない」と、天然醸造だけに専念し
た。

 速醸法のみそは、入工的に添加物を加える。天
然醸造は、三年間に「天地返し(中身に酸素を通
すために別の桶に移す)」を三、四回するだ
け。酸化するため色は自然に濃くなる。

●○●○○

県内産大豆にこだわる

 
みそは、大豆とコメ、塩の三者を混ぜて造る。
大豆は県内産にこだわる。年間の大豆使用料は
約五十トン。「手に入れるのが難しくなった。作る
人が減り、上水内郡の中条村や鬼無里村などの農
家から二、三俵ずつ買う」

 輸入大豆は三十キロで約千五百円、県内産は三十
キロで約一万二千円。材料費は十倍だが、製品価格
は二、三倍。経営的には決して楽ではないとい
う。   

「『ばかなことをやっている』と笑われたこと
もある」。だが、それをやめなかったのは「ここ
だけの味に、全国からファンがついてくれたか
ら」だ。

●○●○○

最も難しい麹作り

 大豆を洗い煮る。コメを洗いふかす。五年前か
ら、原材料処理は独自の機械を使う。しかし、最
終的な微調整は自分の目で確かめてする。三年間
寝かせた後のみその味は、最初の配合で決まる。

 コメをもとに作る麹(こうじ)作りは最も
難しいという。「コメ粒のしんまで麹菌が繁殖し
て"はぜ込み"をよくしなくてはならない。大豆
をみそにするのは麹の力。なまはんかな麹では
三年間もたない」という。

 麹室(むろ)は室温三0度に保たれ、さらに一
つ一つの床(とこ) を毛布でくるむ。「生きもの
だから」。大切な宝物を、扱うように、注意深く扱
う。

●○●○○

「おいしい」が造る喜び

 「おいしかったといわれると、そりゃあうれし
い。味覚は個入差の大きなもので、十人のうち六
人がおいしいといえば大成功といえる。小さい企
業だけれどメーカーはメーカー。造る喜びという
のはそこにある」

 みその本当の味を、同店の店頭で初めて体験す
る入も多い。「四十年、これだけやってきて満足
している」。穏やかな笑顔がこぼれた。

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